頭頚部の症状に関わる筋について
今回は、頭頚部の症状に関わる筋について書きたいと思います。
とりあえず、ザッと挙げさせて頂きます。
・肩甲挙筋
・僧帽筋
・広頚筋
・頚長筋
・頭長筋
・舌骨下筋
・胸鎖乳突筋
・後部筋(頚部伸筋群)
・斜角筋(前、中、後)
・頭直筋(前、外側)
・後頭下筋群
これらの筋に問題が発生すると、頭頚部の運動制限(可動域制限)、肩こり、頚部痛(首こり)、頭痛、顔面痛、嚥下時の食道の違和感や痛み、自律神経系の障害などの症状が出てきます。
上肢への影響(関連痛、しびれ)も出てきます。
それと、これは頚部の筋ではないですが、大胸筋は姿勢(猫背)による肩こりなどを引き起こしますし、小胸筋は肩や首や上肢の状態に密接に関係している肩甲骨に影響を与えます。
これらの筋の中でも特に私が重要と言いますか、施療にあたるうえで、よく出くわす、トラブルを起こしやすい筋をピックアップして、もう少しだけ書かせていただきます。
・肩甲挙筋
収縮によって頚椎への圧迫力が増加する。
それにより首の硬直や頚部の可動域制限が起きる。
収縮によって肩甲骨が下方変位し肩甲骨関節窩が下方へ。
それにより肩関節(肩甲上腕関節)の不安定性が生じる。
寝違えを引き起こす筋でもある。
・僧帽筋
肩こりの代表的な筋の一つですね。
特に上部の僧帽筋は眼や眼の上、こめかみなどへの痛みを引き起こします。
頚部痛の原因にもなっています。
・胸鎖乳突筋
この筋は色んな症状を引き起こす筋であります。
それだけ繊細な筋とも言えるでしょう。
施術するにあたって、この筋に関しては慎重に扱う必要があります。
症状としましては、
鎖骨部:前頭部痛、目の周りの痛み、頬の痛み、顎先端の痛み、胸鎖関節痛、嚥下時の食道の違和感や痛み。
胸骨部:前頭部痛、耳の後部痛、自律神経系障害(涙、結膜炎、鼻炎、視覚障害、鼻風邪、眼瞼下垂など)
三叉神経痛に似た症状が出ます。
酷くなると、難聴、眩暈感、平衡感覚異常、運動失調、突然の転倒、吐き気を含む見当識障害を起こすとも言われております。
・斜角筋
この筋は胸郭出口症候群の原因の一つになっている筋です。
胸郭出口症候群については、また書かせていただきます。
症状としましては、
腋窩周辺の痛み
深呼吸がしにくい
上肢内側(または外側)の関連痛(神経レベルで言うとC7、C8)
頚部痛(局所痛、深部痛、鋭い痛み)
肩の痛み
胸郭出口症候群の症状(これについては、また書きます)
・後頭下筋群
この筋は小後頭直筋、大後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋からなります。
症状としましては、
深部の頚部後方の痛み
頭の横から眼までを包み込むような頭痛
これら4種の筋の中でも小後頭直筋が最も深層に位置し、固有感覚受容器の密度が最も高いと言われております。
この筋の機能が低下すると、頭部の不安定性が生じます(めまいを引き起こす原因になります)。
この筋の委縮は慢性的疼痛症候群の原因になります。
後頭下筋群の機能障害を改善させることによって、股関節の可動域が増加したという報告(論文)もあるようです。
とりあえず、ザッと簡単に書かせていただきました。
これらの筋におきましては、施術は十分に可能です。
症状の改善が見込めると思って頂いていいかと思います。
もちろん、これらの筋が、その症状の原因になっていればの話ですけどね。
ご相談して頂ければと思います。