腰部・骨盤部の症状に関わる軟部組織
今回は、腰部・骨盤部の症状に関わる軟部組織(筋・靭帯)について書きたいと思います。
あくまで代表的なものを簡単にザッと、ご紹介いたします。
ここに書いているものが全てではありません。
ほんの一部です。
よく症状に絡んでくる、いわゆるトラブルメーカーになる軟部組織(筋・靭帯)の代表的なものだけを挙げていきます。
⁂ 腰方形筋に問題が起きますと、
症状としましては、
・寝返りで鋭い痛み
・痛みで腰が曲がったまま
・せき・くしゃみで鋭い痛み
痛みの場所としましては、
・腸骨稜
・大転子~殿部
・仙腸関節
・上前腸骨棘(ASIS)~鼡径部~大腿前面
などがあります。
⁂ 腸腰筋(大腰筋・小腰筋・腸骨筋)
これらの筋に問題が発生しますと、二つの腰痛パターンが現れます。
1.脊椎に沿って縦方向
2.腸骨稜に沿って横方向
そして、大腿前面に痛みが出てくることも多いです。
動作痛の特徴としましては、
・椅子から立ち上がる時に痛い
・仰向けの状態から身体を起こす時に痛い
などがあります。
⁂ 大腰筋に問題が発生すると、股関節前面に表面的、局所的な鋭い痛み(圧痛)が出ます。
そして、同側の脊柱に沿って痛みが出ます。
さらに、消化器系の問題(便秘)にも影響を及ぼします。
⁂ 腸骨筋に問題が発生すると、ベルトラインに沿って痛みが出ます。
深部痛で範囲が広く鈍痛(痛みの場所がはっきりしない、圧痛を感じにくい)
⁂ 小腰筋の過緊張によって、下腹部の痛みや股関節の伸展制限などが現れます。
⁂ 多裂筋は姿勢のコントロール、ポジションセンス(位置覚)、関節の安定に関わる筋肉です。
特に腰椎の屈曲可動域と強い相関があります。
多裂筋への脂肪浸潤が増えると、痛みによって屈曲の可動域が減少(制限)が起きます。
慢性腰痛の原因の一つとされております。
⁂ 腹直筋に問題(筋の過緊張)が発生すると、立位(体幹伸展)の時に腰痛が増悪します。
なぜなら、腹直筋が過緊張すると下部腰椎(L4、L5)が過伸展するためです。
逆に胸腰移行部は伸展制限がかかります。
それにより腰痛が発生するということです。
ちなみに、外腹斜筋や内腹斜筋に問題があっても腰痛が発生します。
これらの筋に問題があると腸骨稜に圧痛があります。
仙腸関節の可動域制限も現れます。
腹横筋は骨盤や腰椎を安定させるのが主な役目です。
この筋がうまく使えていないと骨盤、体幹の不安定性が現れます。
当然、不安定性が原因の症状が出やすくなります。
その場合は治療というより、この筋を使うリハビリ(エクササイズ)が必要です。
⁂ 腸腰靭帯は、ぎっくり腰の原因の一つに挙げられております。
20歳までに腰方形筋から分離し、人間にのみ存在する靭帯です。
40歳ころから変性が始まります。
⁂ 後仙腸靭帯は仙腸関節に痛みがある場合、まず最初に100%ルーティンで必ずチェックすると言っても過言ではない、そして多かれ少なかれ、ほとんど問題がある靭帯であります。
痛みの特徴としましては、
・鋭い痛み
・局所痛
・動作痛
・咳、くしゃみに伴う痛み
・鋭い圧痛
・下肢への関連痛
関連痛のパターンとしましては、
・94% 殿部痛
・72% 下部腰部痛
・50% 大腿部痛
・28% 下腿痛
・14% 陰部痛
⁂ 仙結節靭帯も後仙腸靭帯に並ぶトラブルメーカーです。
鋭い圧痛があります(特に停止部、起始部は後仙腸靭帯と癒合している)
下肢への関連痛もあります(大腿後面~下腿後面~踵骨後面)
⁂ 仙棘靭帯は後仙腸靭帯や仙結節靭帯ほどではないですが、なかなか取れないしつこい殿部痛があったりするとチェックする部位ですね。
とまあ大体こんな感じですかね。
ここに挙げている軟部組織に関連した(原因の)症状であれば、当施療室で改善は可能です。
ぜひ、お試し頂ければと思います。