肩周り(上腕)の症状(疾患)について
今回は、肩周り(上腕)の症状(疾患)ついて書きたいと思います。
まず肩関節の構造は下肢の構造とは違い、より運動性に特化した構造になっています。
そのため関節窩は浅く股関節などに比べると安定性としては低いです。
よってサブラクセーションが起きやすい部位でもあります。
基本的に肩関節の安定性は筋、靭帯、関節包、関節唇などによって保たれています。
その肩関節は4つの関節で成り立っています。
肩関節複合体とも言います。
種類としましては、
・肩甲上腕関節
・肩鎖関節
・胸鎖関節
・肩甲胸郭関節
があります。
この4つの関節が、うまく機能することによって様々な肩の運動が可能になります。
しかし逆に言うと、4つも関節があるわけですから連動性が重要になってくるのですが、そのどこかの部位一つに機能障害が発生すると、一気に連動性が崩れてしまいます。
そうなると、また新たな機能障害が次々と順番に発生し、どんどん症状が増えたり悪化したりします。
そして、これだけの関節があるということは、これらの関節に影響を与える筋、腱、靭帯、関節包も沢山あるということです。
非常に複雑であるということです。
姿勢バランスによる影響も多大に受けやすい部位でもあります。
特に肩甲胸郭関節の運動性および安定性においては、ほぼ筋によって保たれています。
ですので肩周りの症状は、症状のあるところだけではなく、広範囲にマクロ的に診ていく必要があります。
それだけ原因が沢山あるということです。
肩周りの症状の原因が1つということは、まずありません。
色んな原因が複合していることがほとんどです。
それでは次に、肩周りの症状に関わってくる筋、腱、靭帯、関節包について書きたいと思います。
沢山ありますが、ここでは代表的なものを一部、紹介します。
・棘上筋:筋腱部に血流不足(虚血)が起きやすい
インピンジメントや炎症の好発部位
・棘下筋:肩後部痛(鋭い痛み)
肩前部の深部痛(関連痛)
後方インピンジメント症候群の原因の一つ
・小円筋:肩後部痛
・肩甲下筋:五十肩の原因の一つ
・三角筋:症状の好発部位は、三角筋前部から上腕二頭筋、大胸筋にかけてと三角筋後部から上腕三頭筋にかけて
・鎖骨下筋:胸郭出口症候群の原因の一つ
・小胸筋:胸郭出口症候群の原因の一つ
肩甲骨の運動障害の原因の一つ
猫背の原因の一つ
・上腕二頭筋長頭腱:肩前部痛
五十肩の原因の一つ
腱炎、腱鞘炎を起こしやすい
サブラクセーションが起きやすい(99%が内方変位)
・関節包:肩前部痛
五十肩の原因の一つ
・肩鎖靭帯:肩鎖関節痛
・烏口肩峰靭帯:インピンジメント症候群の原因の一つ
五十肩の原因の一つ
・前鋸筋:肩甲骨の安定化に関与
これらの関節や軟部組織の機能的問題においては当施療室の施療技術で対応できます。
何度も書きますが、肩周りの症状の原因は複雑です。
色んな原因が重なっています。
もし他の療法で優れないという方がおられましたら、ご相談ください。
最後に肩関節障害の44%から65%を占めるとも言われているインピンジメント症候群についてサッと簡単に書いて終わりたいと思います。
インピンジメント症候群というのはスペースの狭窄によって、そこにある組織が擦れたり、挟み込まれたりして症状が出るというものです。
・肩峰下インピンジメント:烏口肩峰アーチと大結節のインピンジメント
ローテーターカフ腱の損傷
烏口肩峰靭帯の肥厚
・烏口下インピンジメント:烏口突起と小結節のインピンジメント
肩甲下筋の損傷
・インターナルインピンジメント:肩関節後上部におけるインピンジメント
棘下筋腱、棘上筋腱の損傷
・プーリーインピンジメント:肩関節前上部におけるインピンジメント
肩甲下筋腱、上腕二頭筋長頭腱の損傷
インピンジメント症候群においては、もちろん状態の程度によりますが改善は可能です。
ぜひ当施療室を、お試し頂ければと思います。